第30章

大島莉理は田中家を出たところで、三村加奈子から電話を受けた。

買い物に行かない?――という誘いだ。

いつもなら、きっと断っていた。

けれど数日後は加奈子の誕生日。ちょうどいい、プレゼントを選ぶ口実にもなる。

二人でショッピングモールへ向かった。

加奈子への贈り物はまだ決まらないのに、なぜか先に莉理が香水を買わされていた。

「大学の頃、これが一番好きだったでしょ。クチナシの香りって、落ち着くって言ってたじゃない」

「もう……クチナシは長いこと使ってない」

田中尚哉が嫌った。

あの人の支配欲は常軌を逸していて、食べるものも、着るものも、使うものも――全部あの人が選んだ。香水の匂...

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